10.03.2009

Retro

先週の話...

痛めた首も一気に回復し、久しぶりの波乗り。
波は肩頭サイズ、風は緩いオフショア。
メンツはMt.Surfアカザワさん、Plungingsurf矢作さん。

青く澄んだ空の下"この板いつ頃に作られた板ですか?"と矢作さんに質問すると...
矢作さんは目を少し細め..."その板は覚えているぞ!その当時俺がブラシングとラミネートした板だ!確か80年代後半だな〜"と...


実に面白い展開。矢作さんが作っていた所を想像しながらいざ海へ飛び込むとパドルしている状態からすでにこの板の言わんとしている事が体から脳へ伝わってきました。

"80's Plunging surf"


話は変わり…
先日とある人にこう質問されたんです。
"ナオトはレトロボードに乗ったりしてるけど、いったい何がしたいの?"と...
オイラは古い時代を経験してきた訳ではないし、板の進化の過程を知らない。このプランジングの板は現代のショートボードの進化の途中の板。今のショートボードの倍はあろう厚さや、シングルフィンで深いチャンネンルが入り、そしてテールはVボトム。
それらが一つの形となって存在し、それを乗る事でどんな乗り心地になるのか...
それは乗ってみるのが一番。
そして念願が叶いいざ試乗。感想は、全然乗れるんだけど、明らかに乗りにくい。動きはメローだし、レールが厚すぎてフェイスにレールが食い込んでいきずらい…
現代のショートボードと比べると...現代のショートボードは乗りやすい!ちょうどいいバランス。そして軽くて動かしやすくて俊敏。
...とこんな感じ。でも個人的にはこのレトロな乗り心地が好きなんですけど...


話はsnowstickへ...
71年に初めてスノーサーフボードのプロトタイプを作ったMOSSの田沼さんは82年に"Snowstick V1"というVボトムの板をFRP(ガラスクロス製)で量産に成功しました。
その当時の日本ではスノーサーフィンという言葉の方が主流で、アメリカから輸入されたBurtonと競争していました。

" '76 Sinzo Tanuma "

"R:Unknown P:Takkin"

そして時代はスノーサーフィンからスノーボードへ…
スピードを競う競技はコアさを増し、フリースタイルがスノーシーンの主体となっていった80年代後半、時代の波に合わせる様にMossもフリースタイルボードを追求する様になっていったのです。

しかし...
スノーサーフィンの魂は消えたのではなく、時がくるのをひたすら、そして準備をしながら待っていたのでした。
90年初頭Mossから玉井さんのスノーサーフィンボード モデルTTが発売。
その後数年の沈黙を経てGentem sitckがデビュー。静かに、そして黙々とスノーサーフィンファンを増やしていき、現代では沢山のユーザーさんを抱えるまでに成長したのです。

その後…
Mossがプロトタイプを作り始めてから36年が経った2007年、田沼さんはようやく時が来たと判断。Gentem stickとはちょっと違った層をターゲットにしたMoss Snowsickをリバイバル。
82年の"Moss snowstick V1"を現代の素材と技術で復活させたその板は、進歩が行き着いた感の強い現代のスノーボードに新たなる風を送り込んだのです。
" '82 snowstick V1 & '07 snowstick U4"

"本当は古いんだけど、それがとても新しく感じる"
それはまさしくレトロが進化したもの。時代はやっぱり巡るんですね。


サーフボードも一緒ですよね。レトロに帰りそれを進化させる。知っている方も多いと思いますがこういった動きはサーフボードの進化では珍しくない取り組みですね。ジョエルチューダーの"Kookbox" 、タイラーハジーキアンの"Tyler srufboards" 、Moss田沼さんの"Moss snowstick"、そしてアライアを進化させた"Moss surfsitck"



"snowstick & surfstick"

古いんだけど、新しい。時代をさかのぼり、進化の途中で発展しえなかった方向を見いだし、現代の素材や技術で発展させる。

結局はそれで出来たものが楽しければアンテナのたっている人から順番に伝わっていく。そしてそれが広く浸透していく。

オイラはそれが横乗りのシーンの一つの形だと思います。

2 件のコメント:

  1. イイ事語りますね!!

    何事も温故知新が必要って事ですね~
    スノーボードもサーフボードも一度乗ったら何かを感じ取りたいですね・・・調子イイとか悪いとかの前に製作者の意図を感じ取れれば最高です!

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  2. To King armsさん
    ありがとうございます。
    コンセプトが特化すればするほど善し悪しの二面性が大きくなりますよね〜
    ぼくもsnowstickをユーザーさんに試乗していただく時、調子いいとか悪いとかではなくシェイパーの意図を探す事がとても楽しく勉強になるとユーザーさんにお伝えしてます。
    でもそれを感じ取る事って経験を積み重ねないとホント難しいんですよね〜

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Snowsurfer Naoto Kotsugai 小番 直人

日本海を望む霊峰"鳥海山"の麓町に生まれ育ち、一年を通して山 海にてサーフィンを楽しんでいる。現在は日本のスノーサーフィンの生みの親である田沼進三氏の元でスノーサーフィンスピリットを継承中。