8.16.2021

U4 Half シリーズ解説

僕にとってU4 Halfの存在は大きい。自分の作るボードと比べて様々な場面で機能的だと感じるからだ。
クラフトマンとして田沼氏から僕が学んだものは、『美しく有ること、シンプルであり、豊かな機能を持ち合わせること』まさにU4 Halfから感じるそのものである。




 U4 Halfの説明 
  • パウダーでの浮力感と走破性・スピードコントロール
  • タイトなツリーランでの取り回し
  • サーフライクにバンクや地形で切れ上がるボトムターンと抜けの良いトップアクション
  • グルーミングでの美しいピュアカーブとバランスの取れたブレーキ性能
  • バックカントリー、不整地、グルーミングまで場所を選ばない

U4U5の良いところを取り入れたシェイプに、国内自社工場特有の細部まで調整できる構造で1から組み上げた。U4Half専用コアに専用グラス、オリジナル透明サイドウォールと惜しみなく注入。ノーマルのUシリーズにターンの特性をプラスした大人のモデル。


繊細な技術で日本人が作るU4 Halfは多くのコンディション・シチュエーションで楽しめるボードに仕上がった。


U4 HalfMOSS田沼氏 クラフトマンシップ50年の歴史において集大成と言えるボードである。


Rider Masahiko Sato
Pic Moco film

【U4 Half スペック】
LENGTH: 1540
R. LENGTH: 818
EF. EDGE: 1040
SIDECUT:9200/6500
NOSE/WAIST/TAIL314/268/294
STANCE WIDTH: 510 (470-550)
SET BACK: -36
PROFILE: Snowsurf Camber





 コンセプトの立ち上がり 

発案されたのが2014年、僕が初めてテストボードに乗ったのが2015年シーズンだったことを記憶している。


151cmU4は短くて動きが速い、157cmU5は長くてゆったり感

この中間でジャストな取り回しのハイパフォーマンスなボードを開発しよう!」


これが154cmU4 Halfが生まれた切っ掛けである。


  • オーバーレングス、取り回し、体感スピード…U4U5の良いとこ取り(ハーフ)
  • 生産工場を国内 自社工場で作ること
  • ロッカー・アウトラインをバージョンアップすること

MOSS 田沼氏をトップに開発するSNOWSTICK史上最高峰モデルの製作構想が立ち上がったのである。



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何本ものテストボードと多くのライダーの意見を経てたどり着いた国産SNOWSTICK

 SNOWSTICKらしさ 

2015年、僕が初めて乗ったU4Halfのテストボードの印象はまるでスノーボードだった。どっしり、シッカリ、ボードに身を任せて安心の安定感。しかし僕たちライダーは口を揃えたように、「SNOWSTICKらしくないな~」との評価。


SNOWSTICKといえば、通常のスノーボードと比べて、どこか頼りない・走破性や高域スピードでの安定感が低い、ポジティブに言い換えれば中低速での自由度はスノーボードと比べすごく高い。例えるならばバイク(スノーボード)から自転車(SNOWSTICK)に乗り換えたようなフィーリングの違いが特徴の一つである。


僕たちライダーが、なぜそこに魅力や楽しさを感じているのかといえば、それはサーフスピリットを感じるから他ならない。


例えると

『フォールラインの重力を利用して、ハイスピードから大きくアップス~トップターン』ではなく、『アップスの本来の目的である自力(技術)でスピードを乗せる(つける)、中低速からアップスでスピードを乗せてトップターン』前述の通り中低速での自由度が高いSNOWSTICKだからこそ、サーフライクなこの行為が可能となる。


スノーサーフィン・サーフィンの共通点として、自然との同調も一つだが、技術でスピードを乗せる事も大きな共通点と感じている。だからこそ、ボードに求められるのは不意自由の安定感ではなく、自由の不安定感にたどりつくのだ。


2016年開発中のU4HalfとMashiko Sato
スプリングスノーの矢島スキー場にて
Photo NK 35mm film




 生産工場の違いが大きなギャップ 
開発・生産をしていく上で、製造工場が変わるということは仕上がりのボードに対して大きなインパクトになる。

既存のSNOWSTICKは中国工場。U4Halfは長年MOSS SNOWBOARDSの生産工場でもある国内の自社工場場所が変われば機械も道具も作り手も変わる。そのギャップは仕上がるボードに大きな影響を及ぼす。


「SNOWSTICKらしさ」このキーワードを自社工場の生産ボードに落とし込むために、何本ものテストボードとSNOWSTICKライダーたちの協力を経てU4Halfを熟成させていった。この様な過程を背景に、MOSS田沼氏クラフトマンシップ50年の歴史において集大成と言えるU4 Halfが仕上がったのである。


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 2種類の製品の発表 

 開発過程で生まれた2種類のU4Half 

多くのテストボードを試乗していくと調子の良い2種類のボードがピックアップされた。

  • SNOWSTICKらしさにシッカリ感が加わったU4Half

一本はシットリとしたフレックス感でSNOWSTICKらしさを感じながらも国産で細部まで作り込まれたシッカリ感を感じられる。ノーマルのUシリーズにターンの特性をプラスした大人のモデル。(フレックスはミディアムソフトに仕上げ低速でもフレックスを楽しめる)


  • 走破性・スピード域の高いOver head

もう一本は、U4Halfにグラスとコア厚みを加え、パワーの走破性とスピード域が高いオーバーヘッド。フレックスを強くすることでパウダーや不整地では走破性が格段にアップし、高速域ではボードに身を委ねても安心感を感じれる安定感となる。その分失うものは低速の操作性であることに違いはないが、SNOWSTICKの不安定さが苦手な人には、スノーボードとSNOWSTICKの中間的存在のオーバーヘッドがマストなボードになることだろう。




秋田のスノーサーフライクなBCエリアを開拓し続けるライダー Masahiko Sato
使用ボードはU4Half Over head
film by mocofilm




 U4 Half発売から5シーズンを経て 

僕自身、田沼氏の元でボード製作を行うようになり現在まで6本のコンセプトボードを発案し、自ら図面を引き、世に発表させてもらった。今も水面下で2本のボードを発表するべく試行錯誤しているが、このU4 Halfの存在は大きい。自分の作るボードと比べて様々な場面で機能的だと感じるからだ。


田沼氏は志を持ってから50年が経ち、1000本以上サーフボードをシェイプし、数え切れないほどスノーボード、スノーサーフボードを世に発表してきた。クラフトマンとして僕が学んだものは、『美しく有ること、シンプルであり、豊かな機能を持ち合わせること』まさにU4 Halfから感じるそのものである。



機会があれば皆様もぜひU4Halfをご試乗してみてください。



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21-22 MOSS SNOWSTICK
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Snowsurfer Naoto Kotsugai 小番 直人

日本海を望む霊峰"鳥海山"の麓町に生まれ育ち、一年を通して山 海にてサーフィンを楽しんでいる。現在は日本のスノーサーフィンの生みの親である田沼進三氏の元でスノーサーフィンスピリットを継承中。