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10.31.2026

Encounter 005|波を追いかけて、能登へ

今年2月、岐阜のホワイトピアたかすで出会った能登のサーファー、たかはるさん。あの出会いから、海でもつながるようになった。そして、日本海のサーフシーズンが始まった。

本格的な冬が訪れると、なかなか海へ向かう時間が取れなくなる。その前に、もう一度能登の波に乗りたい。

一週間ほど前から低気圧の動きを追い続け、久しぶりにたかはるさんへ連絡を入れた。

「木曜日、朝イチはできるかもですね」

そんな返事をもらい、スケジュールを調整する。移動時間は約8時間。

良いコンディションの時に、その場にいられるか。

それがすべて。

日本海の波は、低気圧の動きによって大きく変わる。どれだけ予想しても、行ってみなければわからない。それでも、海へ向かう。

途中、安房峠では雪をまとった山々を眺めることができた。秋から冬へ。季節が移り変わっていく。

安房峠の雪をまとった山々

夜、たかはるさんファミリーと再会。今回で3回目。たかはるさんの同級生、アイさんも交えて話は尽きず、夜はどんどん更けていった。

朝5時半。

午前5時半の朝焼け

目の前には、美しい朝焼け。前夜まで荒れ狂っていた海が、少しずつまとまりを見せていた。

たかはるさんが屋根に登り、沖から入ってくるうねりを確認する。サイズは予想より下がったものの、胸ほどの波が残っている。

沖から入る朝のセットの波

「よし、朝一入ろう」

急いで準備を始める。

たかはるさんのワックスアップ

コータロウ君と合流し、たかはるさんと3人で海へ向かった。そこには、素晴らしい波が待っていた。

入水前に話すたかはるさんとコータロウ君

この海は、ローカルサーファーたちが大切にしている場所。突然訪れて、気軽に入れるような場所ではない。こうして迎えてもらい、波に乗らせてもらえることが本当にありがたい。

庭に並んだ3本のサーフボード

前回は真冬。初めて乗る、おろしたてのボード。波のサイズも今回より2サイズほどアップしていて、緊張感のあるセッションだった。

でも今回は違う。驚くほどリラックスしていた。

もちろん、周囲には油断できない岩場がある。それでも、セットの波に乗る瞬間、前回の感覚が自然とよみがえった。思っていた以上にスムーズなテイクオフ。

何本か乗るうちに、さらに余裕が生まれてくる。あれをやってみよう。今度はこうしてみよう。

そんなことを考えながら波に乗れる。太陽が少しずつ昇り、温められた空気の中、海から朝もやが湧き上がる。朝日に向かって滑り込む。

Tsukumo Shapesでイメージしていた動きを、美しいセットの波で試してみる。うまくいくこともあれば、うまくいかないこともある。何がリンクしていて、何がリンクしていないのか。

そんなことを考えながら、波に乗り続けた。

海の上ではローカルのジュンくん、そして富山のジンさんともセッション。いろいろな場所で横乗りの時間を共有してきた仲間たち。

波は思いのほか早くサイズダウンし、午前10時前には最初のセッションを終了。満足感に満たされた空気が、その場を包み込んでいた。

海から陸へ。

アフターサーフに庭で語り合う仲間たち

アフターサーフ。たかはるさんの家で仲間たちと語り合う。

そして、今度はスケートボードを持ち出した。たかはるさんと約1kmのダウンヒルセッション。さっきまで海で波に乗っていた二人が、今度はアスファルトの上を滑っている。

海でも、陸でも。遊びは続いていく。

Movie by Yoji

もう一つの波。

午後のビーチへ向かう前の風景

ランチを済ませ、午後のセッションへ。今度はビーチブレイク。

午前中に使用したのは、自分で削って作ったツインザーのサイドフィン。サーフィンの師匠の一人、ヨッシーから受け取ったテンプレートをもとに製作したもの。

胸ほどのサイズがあった朝の波では、踏み込めばグイグイと走るドライブ感が気持ち良かった。ただ、自分のボードには少し大きい気がしている。もう7〜8mmほど削って試してみたい。

午後は波のサイズが1〜2サイズダウンし、パワーも落ちていた。そこで、サイドフィンを外してツインフィンで入ることにした。

たかはるさんのアイデアで、防波堤脇のブレイクへ。僕も直感的に、たかはるさんについて行きたいと思った。

結果は大正解。

朝はライトオンリー。午後はレフトオンリー。しかも、3回カットバックできるほどの素晴らしい波。

朝のリーフは、力強く硬い波。午後のビーチは、防波堤脇のポイントブレイクで、優しくまとまった良い波。

西伊豆で練習してきたレフトの動きを再確認しながら、Tsukumo Shapesで感じている身体の使い方を取り入れていく。

僕にとってTsukumo Shapesの乗り味は、7’2のウイングピン、シングルフィンのミッドレングスに近いフィーリングを感じる。今回乗っている6’5のツインザーとは、特に後ろ足とフィン周辺の感覚に違いがある。

それが面白い。

海で試して、陸で確かめ、また海で試す。何がつながっているのか。何が違うのか。

その繰り返しが、また新しい発見になる。

気がつけば、腕が上がらなくなるまで波に乗っていた。心も体も満たされている。

最高の波乗り。最高の一日だった。

そして、もう一つの出会い。

お多福の手打ちうどんと天丼

帰る前に、ジンさんと夕飯を食べることになった。向かったのは、たかはるさんのつながりがある、手打ちうどんと天丼のお店「お多福」。ジンさんも、こちらへ来るとよく通っているという。

店主は同世代のサーファーで、MOSS SNOWSTICKにも乗っている。お店を訪ねると、思いがけない来客に驚いてくれた。そこから、また話が盛り上がる。

雪山で出会ったたかはるさん。

能登の海で再会した仲間たち。

海から陸へ続いたセッション。

そして旅の最後に、また新しい出会い。

約8時間かけて波を追いかけた、短い旅。

素晴らしい波に乗れたことはもちろん嬉しい。でも、振り返ってみると、それだけではなかった。

人との出会いが、次の時間をつくり、また新しい世界を広げてくれる。

だから、海も山も、やめられない。

8.09.2026

だから僕は、また一人で海へ向かう。

だから僕は、また一人で海へ向かう。

今回で3回目。少しずつこの海を知り、少しずつ遊ばせてもらう。

最初にこの海を訪れた日、海で出会ったローカルサーファーのダイさん。

今回も朝、海で目覚めるとダイさんが波チェックをしていた。

一緒に海へ入る。

長めのセットの合間に問いかける。

「天草漁って、いつ忙しいんですか?」

「5月から6月に採るんだよー」

採った天草を天日干しにして、汚れや余計なものを一つずつ手作業で取り除いていく。気の遠くなるような作業。

「天草は、やっぱりところてんですよね?」

「そうそう。コーヒーゼリーや寒天スイーツにもできる。食物繊維も豊富で、体にいいんだよ」

それを聞いて、はっとした。

「ぜひ、購入させてもらえませんか?」

午後。

お天気雨の中、ダイさんの軽トラックの後ろについていく。

細い山道を下り、見えてきたのは昔ながらの小さな漁村。まるでタイムスリップしたような空気が流れていた。

「途中、バイトに向かう奥さんとすれ違ったんだよ」

「お会いしたかった。残念。」

「僕も会わせたかったよー」

そんな会話をしながら作業小屋へ。

乾燥させた天草。一つずつ汚れを取り除く作業台。きれいに袋詰めされた天草。

蒸しっとした作業小屋の空気と田舎の香りに、なぜか子どもの頃を思い出した。

最近、便通があまり良くないという秋田の母へのお土産に。

この海について

今回の旅で改めて感じたことがあります。

僕は仲間と旅をすることが好きです。でも、この海だけは、いつも一人で向かっています。

それは、この場所を大切にしているローカルサーファーへの敬意があるからです。

良い波が立つ場所ほど、そこには長い時間をかけて育まれてきた文化があります。

その文化は、波だけではありません。

人とのつながり。
暮らし。
仕事。
そして、地域を大切に思う気持ち。

それら全部があって、初めてその海があります。

だから僕は、場所を探すことよりも、人と出会うことを大切にしたい。

今回出会ったのは、天草ではありません。

ダイさんご夫婦が大切にしている暮らしであり、その土地に流れる時間でした。

だから僕は、また一人で海へ向かいます。

次に出会えるものを、楽しみにしながら。

Snowsurfer Naoto Kotsugai 小番 直人

日本海を望む霊峰"鳥海山"の麓町に生まれ育ち、一年を通して山 海にてサーフィンを楽しんでいる。現在は日本のスノーサーフィンの生みの親である田沼進三氏の元でスノーサーフィンスピリットを継承中。